今更 スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE 感想

今更ですが、スーパーダンガンロンパ2 THE STAGEの観劇感想を書きました。

まず、点数をつけるとしたら、100点満点中70点くらい。
面白かったけど、まぁ、及第点かな……みたいに思っているので、褒めてる感想かというとそうでもないです。というか気になる点や微妙だった点が結構記憶に残っているので、そういう話も多くなると思います。ご承知おきください。

以下、そのほかの前提。

舞台化して、すげー!あのキャラクターが現実に!!と思った個人的ランキング。
1位:罪木(完全に罪木がそこにいた)
2位:左右田(40歳高校生クオリティ高かった)
3位:澪田(声帯が小清水亜美だった)

登場人物がすごく多い舞台ですから、それぞれのキャラクターに一言言いたいことを書くだけで結構な感想になりそうなので、まず公式サイトのキャスト順に並べていこうと思います。

◆舞台の日向創について
ダンガンロンパシリーズで一番好きな日向くんが2.5次元になる…ということで期待だけでなく恐怖心も非常に大きかったのですが、横浜流星さんのスラっとした細身ながらガッチリした体つき(特に胸板から腹筋にかけて)が最高でした。
あのアンテナ生えた髪型も現実になると予想外にギャグっぽくならない。ビジュアルには文句なしです。
声は、女性声優の高山みなみさんがやっていたゲームよりも高いという面白い事態で最初びっくりしましたが、「舞台の日向くん」というキャラクターとして可愛さが出ていたし受け入れられました。
ただ若さゆえというか台詞が多い舞台のせいというか、12/10公演では疲れが出たのか、後半ずっと鼻をすすっている音が聞こえていた印象が最後に残ってしまって残念です。
二幕の日向くんって一度も舞台袖引っ込めないからなぁ。でも12/10公演はみんな鼻すすってたね。

◆七海について
独特なアニメ声が、はなざーではないけど七海のしゃべり方を再現していて、私あの声好きです。あの声は。
AKBって本当に顔じゃあないんだね。

◆田中について
ビジュアル、身のこなし、しゃべり方。すべて田中度高くてさすがだった。
随所で笑いを取っていて飽きさせないのも、見ていて楽しかった。
ただ、田中ってこういうポジションのキャラだったっけ? それどっちかっていうと左右田の役じゃない?
こういうキャラクターが舞台上にいると楽しいし必要、そういう意味で評価してます。でもこれ田中の役目だったっけ。

◆罪木について
舞台上に、現実に、罪木蜜柑がいた。
個人的にMVPを贈りたいくらい、一番キャラクターを再現していました。すごいよあの演技。絶望罪木には圧倒されました。
普段の罪木の声も、絶望罪木の声も、地声とは全然違うっていうのがまたすごい。12/6マチネのカーテンコールがちょうど罪木役の須藤茉麻さんのコメント回だったのは幸運でした。
罪木だけでも観る価値あったよ、この舞台。

◆ソニアについて
ビジュアル、声、演技の再現率が高いし可愛いしとてもよかった。ちゃんと純日本人ではない役者さんを連れてきたところも評価したい。
ただ、ソニアさん自身にはバレエをする設定なんてないのに、ソニア役のジェイミー夏樹さんがバレエ得意らしいからバレエさせてたのかな?

◆終里について
めっちゃかわいかった。スタイルも良いし、ゲームよりずっとかわいい…。
ゲームの終里って正直、頭が弱いというよりもモラルの無い言動が目立ってキャラの株を下げていたと思うのですが、そういう描写が削られていたお陰もあって、すごく嫌味のない良いキャラになっていた。

◆九頭龍について
伊崎さんが演じられていた方しか観ていないのですが、可愛らしさの中に格好良さもある、九頭龍の良いところがとても出ていてよかった。
ペコの竹刀を借りて構えるシーンとか。かっこいい。

◆澪田について
声帯に小清水亜美が住んでるでしょ。可愛い上にクオリティ高いとか最強じゃないですか。
「澪田唯吹の澪に!」のところめちゃくちゃかわいかったし、「あの子、まだまだ強くなるよ」の声の変え方がすごい。演じていた伊波杏樹さんは声優もやってる方みたいだからですかね。あのビジュアルの再現も大変だったろうに。

◆西園寺について
日向くんの次に日寄子が好きなんですが、あの小生意気で腹が立つ(褒め言葉)ロリの再現率には文句なしです。かわいかった!
日寄子好きなものの、ストーリー上に良いところがあるキャラでもないと思っているので、かわいかった以外に言えることがないんですが……かわいかった。
小泉おねぇにしょっちゅう甘えてるのも、カーテンコールで小泉おねぇと一緒に出てくるところもかわいかった。かわいかった。

◆辺古山について
ビジュアルのレベル高いしかわいかった。文句なし、かつ特筆するところもなし、な感じ。
結構小柄なところがイメージと違ったのですが、逆にそこが可愛く感じたかも。

◆十神について
これまた再現率が高い。むしろ花村に優しかったりリーダー度がゲームより上がっていたりで、頼れる僕らのリーダー感が更に強まっていました。
その分、早期退場の惜しさもアップ。
十神そのものに関してではないですが、エノシマジュンコーズしてた時のぷるぷる震えながら江ノ島声出してた姿がすごい面白かった。

◆小泉について
女性キャストに関して、だいたい「再現率が高い」しか言ってないのですが、小泉ちゃんも例に漏れず再現率が高かったです。かなり高かったです。
めっちゃ可愛かったし、ただ可愛いだけじゃなくて、小泉らしい! 小泉っぽい! と思わせてくれるところ、すごく好きですね。12/10公演のカーテンコールは蜂谷さんのコメントで嬉しかったです。
小泉を演じている時も上記の通り高評価なのですが、エノシマジュンコーズしていた時の江ノ島の演技がダントツで上手かったと思いました。あの秘書モードみたいなしゃべり方がね。

◆花村について
声とかしゃべり方とかはさすがに福山潤にはなれなかった(当たり前)ですが、学級裁判の必死な演技がとても印象的でよかったです。
最初の裁判であの熱演。掴みはバッチリ、の掴む役を見事に果たしていたと思います。

◆弐大について
チェンジで。

◆左右田について
ちょうど40歳の左右田と41歳の左右田を観ることができたのですが、そんな年齢を感じさせないくらい修学旅行生の一員してた!
ビジュアルはもちろんのこと、声質が近いのかな? 声も左右田っぽさを感じられて、すごくクオリティ高かった!
演技力も文句なしだから、左右田が生き残り組で最後までずっと脇を支えてくれる安心感もすごく感じられた。
いや~、よくいしだ壱成を連れてきたなぁ…。キャスティングに感服しました。
というか、この舞台、全体的にキャスティングがすごく良いですね。弐大以外。

◆狛枝について
狛枝って、本編中だと大きく分けて二つの顔があるキャラクターだと思うんですよ。
ひとつは、心優しくて面倒見が良くて、穏やかで気が利いて頭が良くて、味方になるとものすごく心強い好青年な狛枝。
もうひとつは、希望を狂信していて絶望のことは道端のゴミ以下のような扱いをしていて、敵になると恐怖しかない猟奇的な狛枝。
その他にも、自分で腕を切り落としちゃうような絶望狛枝とかアイランドモードのわたあめみたいな狛枝とかもいますが、コロシアイ修学旅行中の狛枝を表すにおいてはひとまず除外します。
で、舞台の狛枝って、狂人のような面の印象しか無かったんですよね。
これは何が悪いって、何かが悪いというんじゃなくて、舞台という媒体と尺を考えて脚本を組み立てたら、こうなっちゃうのも仕方ないのかなぁとは思うんですよ。
思うんですけど、やっぱり、舞台の狛枝は狛枝じゃないな、っていうのが自分としての結論です。
舞台狛枝というキャラクターとして言えばものすごくクオリティ高かったと思います。鈴木拡樹さんの演技力と顔芸はやはりずば抜けていたし、ビジュアルも普段の狛枝の可愛らしさや優しそうな印象がよく出ている。
ただ、チャプター2の捜査パートカット(=足跡の調査で活躍する狛枝もカット)、チャプター3の協力パートカット(=映画館のじゃれ合いやあえて日向くんを追い詰めて信頼を固める狛枝もカット)、一幕中盤に希望ヶ峰学園ファイルを入手してしまう展開上チャプター3にはもう他の仲間に対して態度が冷たい。日寄子の死体で遊んでるし。
この構成じゃ、狛枝に対する信頼感を持つ間もなく、気がついたら通路で叫んで自殺した狂人というインパクトばかりが残りました。どうでもいいけど通路を見ようとして振り返ったら後ろの席の方と目が合って気まずかった。
あそこの島を爆破させて通路で叫んでいたところもね、「頭がめちゃくちゃ切れる狂人」「とても勝ち目のない敵」という印象を振りまくのも大事だと思うんですけど、狛枝ってああいうところであんなに叫ぶように怒鳴るように声を荒げてプッツンしちゃうようなキャラでもないと思うんだよなぁって。めんどくさいオタクらしいこと言いますけど。
狛枝はもっと落ち着きがあるキャラではないかと思うんです。ただし舞台の脚本を見た限りでは、狛枝はこういうキャラだというイメージを持って、こういう演技になってしまうのも当然だとも思う。
そういう、経緯が想像つくから納得はいくけど満足はできない感じが、今でも自分の中に残っています。
ただ、あそこで「希望は前に進むんだ!」って狛枝が叫ぶのは、好きです。前作の主人公・苗木のポジティブな決め台詞が、異なるシチュエーションで使われると真逆で恐怖の印象を与える、というのがすごく面白かったんです。なるほどな~。
言いたいことがゴチャゴチャしましたが、結論としては、鈴木拡樹の顔芸ハンパなかった。狛枝の立ち絵のような涎が見えるかのよう。好きかどうかって言われると正直なところ気持ち悪かった。12/6がすごく前の方のセンターブロックだったものだから、いきなり間近で見るには強烈すぎた。

この舞台の感想を今更でも書こうと思った理由が、やはり、「狛枝の描写に関してどうしても何か言いたい」からだったので、案の定すごく長くなりました。でもスッキリしました。
あとキャスト一覧にはいないけど、江ノ島盾子について。「すげぇ」の一言です。
さすがですね、あの人。納得のラスボス様でした。前作舞台が観たくなりました。
それと、アンサンブルのチビモノ達も、この舞台において重要な雰囲気作りを担っていたと思います。
最初は学級裁判が始まる前の場面転換で場を持たせるために踊ってるだけの賑やかしかな? って思ったのですが、そんなアンサンブルがおしおきの時に武器を持ってきて、クロを処刑する。楽しそうにニコニコ笑って。あの異常さは、モノクマそのものの可愛い見た目に反する恐怖を表していて、すごくよかったです。
モノクマ自体はあまり出てこないこの舞台に、あのチビモノは必要ですね。純粋に踊りも可愛いし。

各キャラクターに関して述べていったら、だいたい本編の流れそのものに言いたいことも言えた気がします。
あえて言うなら、冒頭の「ねぇ聞こえる?」の時の狛枝は屈むなり膝をつくなりして欲しかった。仁王立ちしてるのがなんか滑稽でした。でもあそこで座ると会場後方席から主演二人とも見えなくなっちゃうのかな。
好きなところはその後の、自己紹介終わってみんなが横一列に並ぶ時、日向くんと狛枝が互いの方に腕を伸ばしてスライドしていくところ。二人のキービジュアルを再現しているみたいで、これからスーダン舞台が始まる!! と非常にワクワクしました。

それとスーパーダンガンロンパ2 THE STAGEを語る上で欠かせないと思うのが、チャプター6の江ノ島盾子withエノシマジュンコーズ。
生き残り5人だけになって寂しくなった舞台が、ワッと賑やかになる。一気に増えた登場人物が、一斉に同じ動きをする騒がしさと狂気。それまでに死んだキャラクターを再登場させることでキャストにも出番を与える。
あれは舞台ならではですね。ゲームでいう虚無裁判に該当する要素だと思いますが、もっと爆発的に華やかさと怖さが広がる感じが、「舞台で観てよかった」と一番思わせてくれました。
二番目に思ったのは、フィナーレで照明が落ちた後もしばらく日向くんの手の中で希望のカケラが光っていたところ。舞台は未来の前の日パートがありませんでしたが、あの光が、彼らにはまだ明るい未来の可能性が残っているように思わせてくれました。
まぁそもそも、舞台はカムクラ周りの描写が大幅カットされてるし強制シャットダウンのリスク説明もあんまり無いから、現実に戻った後の心配もあんまり感じなかったんですけどね。それでも一言「苗木くんの仕業ね」って苗木の名前を出したところは、おおっとなりました。

全体的に、満足してるのかどうか微妙な感想になってしまいましたが、満足してないほどじゃないんです。
ただ、狛枝というキャラクターの描き方は本当に難しいんだなぁ、と再確認した感じです。舞台も舞台で、「舞台狛枝」を表現しきっていたとは思うんです。
ストレートに文句があるとしたら弐大くらいです。
自己紹介のあたりからもう弐大がしゃべるたびに悲しくなってたんですが、公式サイドには「弐大はどうでもいい」と判断されたってことなんだろうなぁ。

目下、前作ダンガンロンパTHE STAGEの再演を是非観たいと思っているところです。生の神田江ノ島観たい。